傘屋
傘屋


一般的な修理ならどの店でもできるだろうと思われる方は多いでしょう。 また「どんな修理でも受けます」と看板を掲げることが優れた傘屋だと見る向きもありましょう。 しかしあえて心斎橋みや竹は専門店であるからこそ「他店購入品のお修理」はお断りをしております。

修理は手術です

「たかが修理…」と軽々に思われがちですが、私は「修理は手術である」と思っています。 医師と同じ心構えですべてに臨まねばなりません。 すべてに責任をもてるもの以外はお受けしない、それが信念であり専門店としての使命でもあるのです。 そこには大切な四つの柱があります。


【1】正しい診察と根治

お修理を預かりますと、梱包を解きまして、じっくり時間をかけて細部を点検(診察)します。 それはお客様が自己申告された故障以外にも補修必要な箇所があるかを見定めるためでもあり、 1本あたり30分以上かかることも珍しくありません。その上で修理指示明細票(カルテ)を作成して該当職場に 送付をするのですが、これは想像以上に大変な作業ですので、当店のお客様だけで手一杯(満床)となります。

しかも専門店の修理では、当座しのぎの応急修理はいたしません。 すべて元職場にて純正部品に交換するという「根治手術」です。 故障した傘を、詳細カルテとともに正規の職場(作成元)に手配することが絶対条件で、それ以外の補修方法は ありえません。だからお取引のない職場の傘は、適切な職場手配ができませんので一切お受けできないのです。


【2】インフォームドコンセント(説明と同意)

上記の手順を踏みましても、勝手に修理をすすめるということも許されません。 修理内容はすべておまかせ頂ける場合もあるかもしませんが、 お客様のご認識以上に修理箇所がある時は事前にご説明をせねばなりませんし、 費用を予めお知りになりたい方の「見積もり後修理」のリクエストに応じて、 まずはインフォームドコンセント(説明と同意)をふまえねばならないこともあります。これも専門店の義務。


【3】状態保全の責任

これも医療とおなじですが、修理過程や輸送過程において(修理依頼前にはなかった)損傷が出ることも考えられます。 その時にちゃんとリカバリー責任がとれるような物件でないとお受けしないことにしています。 例えば、思い出のハンドルを生かし新規本体につけかえて欲しいという御要望も時にありますが、そのハンドルが万一損傷した 場合に責任のとりようがないので(技術的に可能であっても)お断りをしています。

修理後に今までなかった不具合や汚損がみつかりました時も、ちゃんと責任ある対応をとらねばなりません。 もともと汚損破損していた傘は、その箇所をカルテに明記せねばならず、そのためにも修理前診断をないがしろにはできないのです。


【4】修理後の責任

チューンナップした車が事故をおこした場合、改造に携わった業者も責任を問われます。 同様に、私たちは修理後の傘に関しても責任を負わねばなりません。 一定期間以内に再度故障した場合への保証や、また修理改造が元で事故がおこってしまった場合も 相応の責任を負うかたちになります。


おかげさまで沢山のご用命を頂いていますので、必然的にお修理も慢性的な混雑が続いております。 できる限り願いを適えてさしあげたい心をもっていますが、職場に過剰な負荷をかけることで、 当店でお買い上げのお客様のサポートに支障をきたしてもいけません。

ファッション性、機能性にあわせて安全性を供給することができてこそ専門店の販売姿勢といえますので、 誠に心苦しいことながら「他店ご購入品」の修理をご容赦いただいております。 どうぞご理解とご了承をいただけますようお願いします。



修理に時間がかかるのはなぜ


骨1本修理と8本修理では単純計算で八倍時間が違うのでは、と思ってしまいがちですが、実は概ね一緒です。 これは骨や中棒というユニット交換をする為には、数量や大きさ如何にかかわらず

【1】一旦すべて解体する
※天井の『上ろくろ』周りをとめてある針金(だきがね/だきはり)を切断することで、ばらばらにします。
【2】交換必要部分を純正部品に入れ替える
【3】もういちど一から組み立てる

という工程を必ず経るからです。


次に販売店舗と職場の輸送に関してですが、取引職場とは週に2回、その他では10日で1回程度の 定期便のようなかたちで荷物のやりとりがされていて、お預かりした修理はこの便に混載することになります。

店舗⇔職場往復コストをお客様にご負担いただくわけにはまいりません。 修理代金や修理手数料だけのご請求にておさえている裏には、このような物流事情があり、 修理価格を抑え適正にするためには前後1-2週間程度のロスはやむをえないという結果になります。