”思い入れ”という言葉がある
思い出が昇華した”思い入れ”
それはすぐれた楽曲に起因した
イマジネーションを、自らの
人生行為に転写した際に生まれる
心理現象である
盤となり、リスナーの耳に入った時から
もう曲は作り手のものだけではなく
それぞれの人の心の中で
それぞれの命をもち
それぞれの道を歩みはじめる
あたかも親の手を巣立った子が成長するように
色々な曲を聴くと、その時の自身を取り巻く情景が
或る時はあざやかに、或いはほのかに、そこに甦ってはこないだろうか
これこそ音楽のもつ最大かつ偉大な力
その意味で80年終盤からのMTV普及は音楽の衰退を加速した
本来、音には固有の映像はあってはならない
なぜなら、それはそれぞれのリスナーの心の中で構築されるべきものだから
♪♪♪♪♪♪♪
作り手は、優れた曲であればあるほど
たとえば、同窓会のような十人イエス!で再現された
それを再現することには細心の注意をはらわねばならない
カバーでもリメイクでもライヴ録音でも安易に企画するのではなく
完全に原盤を上回ったクオリティーのものしか発表すべきでない
リスナーの心に芽生えた命、思い入れにもっと敬意を表すべきである
船頭多くして船山へ登った「ハート・オブ・ザ・サイライズ」
もうこうなると私の心に宿る伝説は崩壊寸前だ
愛しているから、再現してほしくない!それもこんな惨めなかたちで...
そのとき私はイエスを絞殺し、自らの心の地下室に骸を横たわらせて
永遠の愛を語ることに決めたのである。神よわが罪を許したまえ
♪♪♪♪♪♪♪
ずいぶん昔、NHKの特集で小田和正氏が語った至言がある
たしかに、もう一度録音すれば
もっと素晴らしいものができるかもしれない
でも、その曲には
その時、その時の”思い入れ”のようなものがあって
もう、それは再現することができないんじゃないかと思う
その”思い入れ”が大切なんだ
私はこの言葉を座右の銘に、数々の録音の現場に臨んできた
ところがどうだろう、
氏が最近発表したアルバムで名曲「Yes No」をレゲエにアレンジされた
私は音楽界の終末を予感した
歌詞が女々しいとか軟弱だとかいう批判もあるが
見事な旋律、天使の如き声と完璧なハーモニー、他に類をみない展開
そうオフコースはまぎれもなくプログレであった。
そして、小田和正氏は(昔の)松任谷由美女史、筒美京平氏らと並び
日本の音楽界に於いて真のメロディーをかける宝ですらあったのに....
♪♪♪♪♪♪♪
一曲を長年歌いつづけている歌手が
もっともっと、聴き手の心の中に芽生えて育まれてきた
「もう飽きた。自分の曲だ、ままよ、どうとでもなれっ」と
思い切りフェイク(変形)されて唱っているのも感心しない
なぜなら、もうあなたの曲はあなただけのものではないからだ
大切な永遠の命”思い入れ”のことを考えてほしい
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| Mr.Sirius |