心斎橋みや竹 匠の傘専門店 明治二十九年


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傘の各部位の名前と取扱説明

各部位の名前

各部位の名前

ハンドル

傘の各部位を人間の姿に例えれば『ハンドル(手元)は顔、玉留は襟元、生地は衣服、石突は足元』といわれます。顔であるハンドルは、その人(傘)の特徴や人柄が端的に表れるパーツです。こうしたイメージで捉えると、傘選びはより楽しく、より吟味するようになり、それだけ所有観が高まります。安易に忘れ物をすることも なくなるでしょう。

この部位には様々な呼び名があります。①柄(え)②手元(てもと)③持ち手④取っ手⑤ハンドル。①の「柄」は図柄や絵柄という柄(がら=デザイン)と誤解されることがあり、②の「手元」もお箸や手許(てもと=近く)にとられることもありますので、私は「ハンドル」と呼んでいただくことを推奨しています。販売者・製造者の玄人筋では「手元」と呼ぶことも多いのですが、当店では商品詳細欄は「ハンドル」で統一して表記しております。
ハンドルの種類別の解説はこちらをご覧下さい⇒ ハンドルの基礎知識

天然樹には、表面の傷や窪み・凹み、割れがございます。またエッジが綺麗な直線でもありませんが、これは型にはめた人工のハンドルではない証しです。永年、使い込むほどに手に馴染み艶のある表情をみせてくれるのも、天然樹の味わいです。

婦人用と紳士用で行程が若干異なります。 婦人用"小曲り"は、焼きだまという器具を用いるので、腕作業で出来ますが、 紳士用"大曲り"は、熱した樹木を固定して一気呵成に『腰』で曲げるのです。勘だけを頼りに、全身のパワーで1本1本曲げるわけですから、相当の体力と経験が要求されます。

取り扱い注意点

匠の傘の多くには天然樹が採用されています。天然樹のハンドルにとって一番居心地の悪いところは「雨のあたるところ、車の中、直射日光のあたるところ」です。特に屋外や車内に放置するようなスタイルで保管しておくと みるみる寿命が縮まります。洋服と同じように愛情をもって屋内の日の当たらないところで保管してください。

また「曲げ物」であることも忘れないで下さい。下駄箱やカウンターにハンドル先だけを支点として引掛けた状態で保管をすると、曲がりが戻ってしまう(ハンドルがあくびする)ことがあります。保管に関しては充分にご留意ください。

※悪い保管例(下駄箱に引っ掛ける)
※悪い保管例(下駄箱に引っ掛ける)

※紐で軽く縛っておけば安心
※紐で軽く縛っておけば安心

長く御使用にならない場合は、紐等で軽く曲がり部分をしばっておかれれば、 良好な状態をいつまでも保持できます。

ろくろ

陶芸などで使う「轆轤」を思い浮かべる方も多いですが、広義で「ロータリー=放射状に広がる沢山のものが集結している中心」という意味も含みますので、傘の場合はこれに該当します。駅前のロータリーをイメージしていただくとわかり易いでしょう。

上ろくろ
上ろくろ

下ろくろ
下ろくろ

だきがね(抱き針)を結んだ先
だきがね(抱き針)を結んだ先

上ろくろは親骨を纏め、下ろくろは受け骨を纏め、それぞれ傘にとって非常に重要な役割を果たしています。集結した骨の根元は「抱き針」或いは「だきがね」と呼ばれるワイアーで括られています。針金を結んだ先が上下のろくろから出ているのはこのためです。

下ろくろでは、結んだ端が尖ってむき出しになっていると怪我をしやすいので、樹脂のキャップを被せたり、ろくろ巻き(布)の内側に隠したりと気配りがされています。

取り扱い注意点

ご使用後に水きりをする時に、くるくると回しながらきることは絶対にやめてください。上下のろくろに過重な負担がかかり、ろくろに集まった骨を纏めているワイアーが切れてばらける原因となります。⇒ 傘の正しい水切り方法

はじき

はじきは中棒(シャフト)に刻まれた溝に組み込まれているパーツで、「上(うわ)はじき」は傘が開いて落ちてこない状態を、「下(した)はじき」は閉じた傘が広がらず纏まった状態を、それぞれキープするための必須パーツです。それぞれに必要とされるバネ力が違いますので、形状や太さ・厚さを変えていることもあります。

板はじき
板はじき

線はじき
線はじき

横には鋲の穴ができます
横には鋲の穴ができます

一般的なものでは板状になった「板はじき」が採用されているのですが、木棒を用いた高級傘では、ピアノ線等に使われている鋼材を手曲げして線状にした精緻な「線はじき」が使われています。線はじきの側面には、はじきを中棒に組み込むために打ち付けたごく小さなビョウ(鋲)の穴の窪みが必ずあります。

取り扱い注意点

職人傘は自動で開くジャンプ式は少なく、殆どが「手開き」です。注意をせねばならないのは、『はじき』だけを押して閉じようとすると指を挟んでしまうことです。親指と人差し指で『ロクロ』をしっかり支えながら中指で『はじき』を押し閉じてください。

親指人差し指でろくろを支え、中指ではじきを押す
親指人差し指でろくろを支え、中指ではじきを押す

一部の傘に採用されている安全ろくろ
一部の傘に採用されている安全ろくろ

最近では安全ろくろといってカバーのついている様式もありますが、匠の傘や一般的な手開きの傘にはカバーはありませんので、基本的な『はじき』の扱いをぜひマスターしてください。※ちなみに安全ロクロは逆に押したままだと、傘がとまらず固定できない現象がでますので、別の意味でご注意ください。

露先と玉留め

露先(つゆさき)とは、雨露が骨に沿って落ちていく先端という意味で、布と骨が結び付けられている箇所を指します。折畳傘では布が骨に直づけされていますが、長傘では小さなパーツにまず傘生地を縫いとめ、それを骨先に差し込んでいます。一般的には、このパーツ自体を「露先(つゆさき)」と呼んでいます。

露先は市販の修理キットもありDIYで作業もできますが、蝋びきした「とも色」の糸が必要ですし、おなじ形状のものでないと見た目に不揃いになりますので、職場修理をご依頼いただいたほうが、コストはかかりますが満足度の高いお修理がご提供できます。

露先
露先

露先をまとめる「たま留め」
露先をまとめる「たま留め」

露先のあたまは概ね球状になっていますので、球(玉)を纏めるパーツを「玉留め(たまどめ)」と呼びます。玉留めはハンドル底部に組み込まれています。玉留め付き傘は殆どが紳士傘で、婦人傘用は稀です。これはデザインバランス的に婦人用の細めのハンドルにつけるのが難しいことが理由です。

ただ個人的には、婦人傘でもぜひ玉留め方式を進んで採用すべきだと考えます。業界のイノベーションが待たれるところです。

「玉留め(たまどめ)」の動きが固くなった場合、クレ556等の潤滑剤か、或いは鉛筆の芯を粉状にしたもの少量塗ってみると改善されることがあります。くれぐれも生地が汚れないよう注意してください。玉留めに凹みが生じている場合はこの方法では治りませんので玉留めを含めたハンドルユニット全体の交換修理が必要になります。⇒ 修理のご依頼

ネーム

傘でネームといえば胴体をぐるっと回して纏めるバンドのことを指します。諸説あるのですが、生地は加工がされていて記名ができなかったので、このバンドの部分であれば記名がし易いということで、そのまま「ネーム」と呼ばれるようになったと言われています。

たかが巻き紐、と軽視してはいけません。この採寸次第で 傘全体がだらしのない巻き姿になったり、逆に締め付けられて窮屈な感じになったり、イメージを台無しにします。小さなパーツであっても、傘のフォルムを左右する大切な要素といえるでしょう。

くちネーム
くちネーム

胴ネーム
胴ネーム

ネームには「胴ネーム」「くちネーム」の二種類があり、前者は傘生地を束ねて纏め、後者は玉留めのない傘が開かないように露先を括り、それぞれ大事な役目を担っています。ネームのボタンは一般的にはホック式が多いですが、ボタン&リングの組み合わせ様式のクラシックなスタイルも人気が高く、匠の傘で採用されることが多いです。

取り扱い注意点

丸いところは「釦(ボタン=ネームボタン)」、かける輪がカン、輪から出ている小さな生地部分がツマミです。ツマミはネーム紐を引っ張って、ストレスなくはずす為にあります。写真右のように、ツマミを垂直方向にしたまま、無理矢理にはずすとボタンがはずれやすくなりますので要注意です。

釦(ボタン=ネームボタン)1釦(ボタン=ネームボタン)2釦(ボタン=ネームボタン)3

中棒(シャフト)

明治の文明開化で日本にもたらされた蝙蝠(こうもり)傘。大正時代から金属棒が登場し「ホワイト骨」の名で大流行します。やがて戦時体制が進むにつれて金属の配給が滞り、国策路線に沿うとの理由で木棒が優勢に。戦後は再び金棒が優勢となりますが、1980年代以降、メイドインジャパンの「匠の傘」がクローズアップされる中で木棒が再評価されて現代に至ります。

このように中棒の歴史は「木棒」と「金属棒」のせめぎ合いですが、当店扱いの職人傘でも両者は混在し、それぞれの傘のコンセプトにあった素材を職人がチョイスしています。たとえば、優雅で風情ある佇まいが求められる傘には「木棒」、強度やスリム&スタイリッシュといったファッション要素が大事な傘には「金属棒」と使い分けられています。

取り扱い注意点

中棒の宿命~それは開閉によって骨と衝突する箇所が必ずあることです。この緩衝のために多くの傘にセロテープが貼付してありますが、それは中棒の守護神ですので、剥がさずにそのままでご使用ください。剥がれてしまった場合は、丁寧にリムーブして貼り直してください。⇒ 中棒の透明テープって何?

中棒のあたり疵は製造工程上仕方がありません。透明テープには緩衝用の大事な役目が。
※中棒のあたり疵は製造工程上仕方がありません。透明テープには緩衝用の大事な役目が。

木棒の傘の場合、傘の内部の湿潤状態が長期になった場合に、稀に膨らんでしまって『下ろくろ』が動かなくなることがあります。乾燥したら元通りになるのですが、症状が出た場合は「中棒交換」が必要になります。回避のために陰干しをしっかりしてください。
修理のご依頼

取り扱い注意点

間違った水切りを繰り返すことで故障に繋がることがあります。傘全体を降って水をきりますと中棒(特にハンドルとの接合部近辺)にストレスが蓄積していきます。知らない間に曲がったり、ハンドルの根元付近で突然折れることもありますので注意してください。
傘の正しい水切り方法

折畳の傘では、必要以上の力で中棒を押し込んでいるうちに、微妙にずれが生じて動かなくなってしまう症状が出ます。この場合も「中棒交換」が必要です。これを回避するのは、できるだけ軽いアクションで中棒を押してしまうような習慣をつけてください

止め鋲(とめびょう)

中棒の上部にうちこんである「鋲(びょう)=太目のくぎ」は、下ろくろ(ランナー)の止り位置を定義するストッパーの役割があるもので、とても重要なものです。これがないと下ろくろは最上部まであがり、上下のろくろが膠着して閉じることが全くできなくなります。

下ろくろの止め位置に打ち込まれた「止めびょう」
下ろくろの止め位置に打ち込まれた「止めびょう」

なくなると、このようになり傘が開閉不能に
なくなると、このようになり傘が開閉不能に

骨の先端についている露先を全て外してみて下さい
骨の先端についている露先を全て外してみて下さい

対処方法

止め鋲がとんでしまうと、写真2枚目のように上下のろくろが合体して閉じなくなります。その時は写真3枚目のように、骨の先端についている露先を全て外してみて下さい。

これで生地のテンションが開放(リリース)されますので、その状態で傘を逆さにし、ひとりが傘本体を押さえて、もうひとりが膠着している下ろくろを引き上げてください。これで必ず閉じるようになります。そして、すみやかに修理の依頼に出してください。職場で止め鋲をうちこめば、元通り使用できるようになります。⇒ 修理のご依頼

天紙(てんがみ)
菊座(きくざ)
陣笠(じんがさ)

いずれも傘の上ろくろ周辺に配置された重要なパーツです。「天紙(てんがみ)」は内側からあてられている布で、骨と生地が直接擦れないようにする役目をします。「菊座(きくざ)」は外側からあてられている布、「陣笠(じんがさ)」は同じく外側からはめられている金具で、まず菊座をはめ陣笠を被せて小さなクギで陣笠を中棒にうちつけパッキングしています。そうして雨が入りこまないようにブロックする役目を担います。

天紙(てんがみ)
天紙(てんがみ)

菊座(きくざ)
菊座(きくざ)

陣笠(じんがさ)
陣笠(じんがさ)

傘の最も多い故障のひとつに「天漏り」があり、雨水が中棒をつたって手が濡れます。

その原因はこの天頂部のパーツまわりに傷みや割れ、ずれが生じていると考えられますので、大概は新しい陣笠に交換し、場合により接着剤で隙間をうめる方法も併用すれば改善します。「天漏り」の症状がでましたら、すぐに修理依頼をしてください

傘の最も多い故障のひとつ「天漏り」

間違った水切りは「天漏り」に繋がります。傘をくるくる回しながら水滴をきる習慣のある方は、知らないうちに上ろくろ周辺のパーツに負担をかけていますので要注意です。
傘の正しい水切り方法

タッセル(房)

匠の傘のハンドルには「タッセル(房)」が巻いてあるものが多くあります。目的のひとつはファッションアクセントとしての価値で、位の高い傘のステイタスシンボルとされています。いまひとつの目的は、滑り止め。安定したグリップのポイントを探しやすくなり、手とハンドルが馴染みやすくなります。

紳士傘には先に木玉が二つついた房、婦人傘には編み房が採用されることが多く、それぞれハンドル部分に巻かれています。ここに指をからめると持ちやすくなります。もしタッセルが壊れた場合は修復は難しく、新しいものに交換修理となります。同じものが職場にあれば、お取り寄せできます。⇒ 修理のご依頼

タッセル1

タッセル2

タッセル3

取り扱い注意点

紐と勘違いし、はずして捨てないで下さい。編み房の場合は、指や爪でひっかけないようご注意ください。また接着剤でとめているわけではありませんので、緩んできたら時々ぎゅっと締めてください。はずれてしまった時は心斎橋みや竹のウェブサイトのコラムを参考に巻いてみて下さい。

「傘についてる紐(タッセル)ってなんのため?

親骨(おやぼね)
受骨(うけぼね)
ダボ 

「親骨(おやぼね)」は生地の縫いに添う長いほうの骨。「受骨(うけぼね)」は、下ろくろから親骨の中間部に向って下支えするようなかたちで位置する短いほうの支持骨です。この親骨と受骨の接している部分を「ダボ」といいます。骨の素材はカーボン、グラス等の繊維(ファイバー)系と従来のスチール系に大別されます。

カーボンの採用傘

最近は軽さ重視でカーボンの採用が増えましたが、スチールにも見た目のグレード感と、生地を張ったときに(カーボンと比べて)適度な引っ張り力が働くので、綺麗なフォルムに仕上げ易いというメリットがあり一長一短です。

職人達は傘の目指したコンセプトにあった骨素材を選んでいるようです。

一般的な傘は親骨8本が多く、10本以上あるものを「多間傘(たけんがさ)」と呼び、匠の傘では16本骨のものが多くあります。多間傘を下手な職人が張ると、全体が膨みすぎて畳みづらくなるので、どこまで綺麗に張れるかが職人の腕の魅せどころです。

取り扱い注意点

『スチール骨』は断面がUの字になっているものが殆どですが、これは外側からの衝撃には案外弱いものです。屋外干しで風に飛ばされた時や、傘をうっかり落として地面に直撃したときに、折れ曲がってしまう可能性が高いですから注意してください。

『カーボン骨』は曲がりに強く、骨がしなって頑張る分、逆にジョイント(ダボ)の箇所に負荷がかかり、損傷するケースが多いです。カーボンだから丈夫、ということは決してありません。カーボンは「軽さの訴求」がテーマだとお考え下さい。

開けるときに袖などを引っ掛けたり、骨が絡まったまま無理に力を入れて曲がることもあります。開くときは軽く骨をさばいてウォーミングアップしてから開いてください。
骨は適合部材がある限りは、お修理が可能です。⇒ 修理のご依頼

小間(コマ)

小間(コマ)1小間(コマ)2小間(コマ)3小間(コマ)4

生地に木型をあてて三角に裁断したものを「小間(コマ)」といいます。16間(じゅうろっけん)というのはこの小間が16枚あることを示します。これをミシンで縫い合わせます。

縫い方には上(石突側)から縫う「関西縫い」と下(露先側)から縫う「関東縫い」があり、前者は簡単で量産できるのですが、後者は時間もかかるうえ高い技術も要します。しかし仕上がりが美しくなるのです。ハイクラスな匠の傘は関東縫いで作成されています。

皆さんは「傘のカバー」といえば傘を入れる袋を想像されるでしょうが、傘作りの職場で「傘のカバー」と呼ばれるのは、すべてのコマの縫い合わせが完成したものを指します。
これを骨に載せて(合体させて)丁寧に糸で綴じていけば傘の本体が出来上がります。

三角型の木型のおはなし

張り職人の「いのち」といえるのが「三角形の木型」です。まっ直線ではなく微妙にR(アール)=カーブがついているのが特色で、これによって傘骨に添った綺麗なフォルムを形成することが出来るのです。木型は骨と生地にあわせて、ひとつひとつ職人が手作りをします。同じ骨でも生地が違えば、別の型を作らねばなりません。

まず仮の木型で生地を緩めに裁断しカバーを作成、骨に載せます。いちどはずし縫製を解いて、木型を修正。再び裁断しカバーを載せます。これを納得がいくまで繰り返した末、本番で使える木型ができあがります。この行程に何日もかかることがあります。

しかも個々で「手癖」があるので、木型は他の職人では使えないそうです。匠の傘を手にされた時、張り職人達の情熱と魂のこもった仕事を、ぜひ思い浮かべてみて下さい。

匠の傘総合マニュアル
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