心斎橋みや竹 匠の傘専門店 明治二十九年


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匠の傘専門店 みや竹 > 匠の傘の魅力 > 匠の傘総合マニュアル > 傘のお手入れ(上級編)

傘のお手入れ

上級編

上級編でご紹介します内容は、くらしの知恵として一般に知られたものですが、どのケースでも有効ということではなく、効果を100%確約することはできません。生地の劣化や汚損、色や風合が変質するリスクも伴います。活用するかしないかは、御客様のご判断に委ねるお手入れ方法となりますので、どうぞご留意ください。

ドライヤー

ドライヤー

作業難易度 ■□□□□ 低

撥水を復活させる方法としてドライヤーが紹介されることが多いですが、経年して生地表面の撥水機能の繊毛が倒れきってしまってからでは、なかなか効果が望めません。
その状態から無理やり効果を得ようとすると、必要以上に熱をあてなければならず、結果として生地を傷めてしまうことになります。実際に私も「経年した匠の傘」で何本も験してみましたが、残念ながら殆ど効果はありませんでした。

もしドライヤーをご使用いただくのであれば、毎回陰干しの後に少しづつデイリーメンテナンスとして実行されるほうが効果的です。要領は以下のとおりで比較的簡単です。

  1. 基本編の「陰干し」が完了して乾いた状態からスタートします。
  2. テーブルの上に綺麗なクロスを敷き、その上で傘を逆さまにおいてください。
  3. 傘の裏側から、生地から2cm程度離して、主に折り山付近(コマの中央)を中心にゆっくりドライヤーの熱をあててください。これを全コマに施していただき、2回ほどローテーションをしたら、熱が冷めるまで待って閉じておしまいください。

これをおこなうことにより、撥水機能をつかさどる繊毛に活力を与えることができます。予防的に毎回スプレーを少しづつかけられる方もおみえですが、それより毎回ドライヤーを用いて、こまめに裏から熱をあてられるほうがよろしいでしょう。

傘生地の表裏では異なった加工がされています。簡単にいうと表が撥水、裏が耐水(防水)のコーティング加工なのですが、傘生地は仕上げ行程で裏側からアイロンをする
ことを前提※としていますので、裏から熱をあてることには殆ど支障がありません。
※遮光傘など例外はございます
本来はアイロンがお薦めですが、慣れない人がアイロンすると様々なリスクがあります。

ドライヤーはアイロンほど熱くなりませんので、安全に熱をかけることが出来ます。特別な道具や材料を必要としませんので、簡単にトライすることができる手入れ方法です。

汚れおとし

汚れおとし

作業難易度 ■■■□□ 中

洗い方を掲載している情報サイトがありますが、匠の傘に限っては 洗濯不可です。
「表面の埃拭い、部分的な汚れ落とし」とお考えください。次の要領でお試し下さい。

  1. 最初はタオルかブラシでやさしく「から拭き」をして、表面の塵や埃を払います。
  2. 目に見えて汚れている箇所があれば、中性洗剤(おしゃれ着洗い等)をぬるま湯で10倍程度に希釈したものに、柔らかいスポンジにつけて、慎重かつ丁寧にポンポンとたたき洗いをしてみてください。広範囲はしないで下さい。あくまでもピンポイントです。
    ※経年している場合や、成分の理由で汚れがおちないものもあります。
  3. しめしたタオルで、やさしく水ぶきをしてください
  4. 最後は綺麗な水をかけて水洗いをして、その後 陰干しで乾燥をさせてください。

大事なことは【2】で除去できなかった汚れを、無理におとそうとしないことです。実際に綺麗な発色の傘を「珈琲」「醤油」「ハンドクリーム」で汚して験してみましたが、汚れをちゃんと落としきることは出来ませんでした。

汚れと似た症状に「褪色(たいしょく)」があります。これは経年劣化でいたしかたないものですで、リカバリーすることは出来ません。外側ではなく、内側から付着する汚れの代表格が「サビ」です。これも残念ながらご紹介した方法では落とせません。サビがついてしまう前に「陰干し」等のお手入れで、骨の健康をキープすることが大切です。

「基本は水洗い」「洗濯ではなく『部分的な汚れ落とし』」というコンセプトで割り切って慎重に作業をされませんと、大事な傘が台無しになってしまうようです。洗うことよりも、汚れを回避する為デイリーメンテナンスをしっかりしていただくことをお薦めいたします。

スプレー

作業難易度 ■■■■■■ 高

準備や手順は込み入っていますが、きちんと護って頂ければ、成功率は高まります。

下準備

ご用意いただくもの

作業場所

作業方法

  1. 晴れた日を選んで屋外に傘を持ち出します。
  2. 風のない日向がベストですが、風がある場合は傘の風上側にたって下さい。
  3. 1コマづつ、まんべんなく全体しっとりと濡れるようにスプレーをかけていきます。
  4. 吹き付けると、ほどなくコマが乾いていきますが、液がかたまって残ったような箇所をタオルで軽く叩くようにのばして、できる限りムラのないようにします。
  5. これを全コマで同じ作業をし、1缶使い切るまで全体を濡らします。
  6. しばらく日向で乾かしたあとは、屋内や軒下に移動させて陰干しにきりかえます
  7. できれば6時間以上、そのまま乾燥させてください。
  8. 乾燥しましたら、全体にドライヤーをあてていただくと、より撥水性能が増します

慎重になって中途半端になると却ってムラが出来易くなります。そのうえ効果も殆ど実感できません。しっかり全コマが濡れるまで噴霧してください。噴霧量が多いので災害用マスク(汚染物質対応用)が推奨です。

30年経過して劣化した古い傘でも
30年経過して劣化した古い傘でも

スプレーで撥水性能が復活します
スプレーで撥水性能が復活します

災害対策用のマスク等で完全防備を
災害対策用のマスク等で完全防備を

生地は裁断される前段階で、専用の機械で堅牢な撥水/耐水加工がされていますので、神経質に何度もスプレーをかけすぎることは逆効果です。日頃のお手入れは、基礎編でご紹介したデイリーメンテナンス+ドライヤーの域にとどめられるほうが賢明です。

また、こうしたスプレー吹き付けによる後加工で得られる「撥水力」は ご購入当初のものとは加工レベルが違いますので、持続性には乏しいということも知っておいて下さい。今後、短いスパンで再び同じ作業が必要となっていくと思います。

スプレーには汚損リスク、吸引リスク、風合いが変質するリスク等が伴いますので、最終手段としてお考え下さい。職場でおこなう時は、生地職人から支給された特別なものを使用しているようですが、もしお客様サイドでご購入になれる類のものから選ぶとすれば、私の経験上 [ボンドコニシ] 防水スプレーF フッ素系 300ml が無難です。成分が強すぎるものは汚れやりムラになったり、ダメージをあたえますので要注意です。

以下の職場では(商品によりますが)プロによるスプレー加工を修理扱いとして受けることが出来ます。 作業に適した場所の確保が難しい方はどうぞご相談ください。お修理依頼窓口よりお申し付け頂ければ見積もりをいたします。⇒ 修理のご依頼

スプレー加工修理を承ることのできるメーカー

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